2016年4月28日からのイベント『肉フェスTOKYO2016春』で大規模な食中毒事故が発生しました。お台場会場609人、福岡会場266人の合計875人という、稀に見る食中毒事故でした。
カンピロバクターという食中毒菌による事故ですが、提供業者もイベントの運営者も素人なのかなんなのか、危険な食品を販売した認識も反省も無いようで、2018年の今年もイベントを開催しました。
『ハーブチキンささみ寿司』『鶏むね肉のたたき寿司』という食品が原因で発生した食中毒事故ですが、
①よくこんなもん売ろうと思ったな
②よくこんなもん食おうと思ったな
という感想を持ちました。
①はイベントですから珍しいものを出展して話題になりたい。売り上げを上げて利益を得たい。当然のことです。商売ですから。
②はイベントですから珍しいものがあれば食べてみたい。こんな食べ方があるんだと、驚きながらも食べてみたい。当然ですよね。そのために来たんだから。
もちろん、プロが作るんだから安全だよね、というのが前提ですよね。テレビが取材に来るような有名なイベントだし、安全?
美味しいかまずいかの前に、普通は考える、生で肉を食べていいのか?というところも、個人経営の小さな店で食べるわけではないから、有名なイベントなんだからと大丈夫なんだろとクリアして食べるわけですよね。
厚生労働省が発表したこの事件の報告書『カンピロバクター大規模食中毒事案の概要』を見ると、あきれるというより、情けなくなるような事実があります。
食鳥処理業者(鳥取県内)
↓ 製品に(加熱用)であると記載されておらず、
↓ 取引業者に対して加熱用であると伝達していなかった。
一次卸先(2社)
↓
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屋外イベントで調理・提供 中心部まで加熱されていなかった
原因(江東区、福岡市)
○鶏肉は加熱不十分な状態(鶏肉の寿司*提供直前に簡単な湯通しのみ)で提供。調理マニュアルも不在。
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提供者はカンピロバクターのリスクに関する認識不足。
食鳥処理業者(調理・提供者)に対する指導内容(鳥取県)
○今後、同様の製品を作る際には、十分に加熱(中心温度75℃以上で1分以上)すること
○取引先に対しても『加熱用』であることを改めて周知徹底すること
恐ろしいことに、この店舗の業者は鶏肉の生食について、なんら知識を持たず、したがって危険性も、もたらす結果も予見しないまま、外見のみおいしそうに整えて販売したわけです。